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入れ歯について

 義歯の安定

 取り外し式の義歯はひとつの装置で上・下顎の喪失歯の小範囲から全歯(14歯)までのかみ合わせの回復を可能とします。 自分の歯と違うのは、噛み込み時の粘膜状態に相応した沈下があることと、装着感といえます。 入れ歯が噛めない、緩(ゆる)いというのは下図のように、咬合時に前歯が強く当たったり左右・前後の臼歯が均等に接触しないことと、部分入れ歯の歯(鉤歯)への支え(鉤:クラスプ)が効いてなかったり、装着方向の統一がなされてない場合がほとんどです。 以下無歯顎での咬合接触の安定のための術式(咬合採得)と部分義歯での義歯制作のポイントを説明いたします。 *なお、薄すぎる粘膜のため尖った骨を触れ指で押しても痛いという場合には軟性の裏打ち材が必要な場合があります。 *学問的な製作技法の説明ですので質の達成にかかわる経済的な環境は言及いたしません。

 下顎の自然に閉じる位置で上下の歯が噛み合ってないと義歯には転覆力が働き、上の義歯は空気が入り落ちやすく下の義歯は口の中で遊びやすい。

  無歯顎のかみ合わせの再建

無歯顎のかみ合わせの再建

歯が揃っている有歯顎(ゆうしがく) 噛みしめ時は顎関節に下顎の回転軸がある。

歯のない無歯顎(むしがく)では、回転軸に近似した円弧にあわせて歯を嵌合させる必要あり。

型取りから製作した模型に適合した咬合床(こうごうしょう)をつくり、上下顎に装着し同じ位置で噛み込むをことを確認。

顎関節と上下顎の関係を模倣した咬合器(こうごうき)に固定された咬合床

上顎模型は定点により咬合器上弓に固定

咬合器に取り付けられ(口腔内から型どりされ製作された)上下顎の模型と人工歯排列前のワックスの基礎床

選択した人工歯の機能に即して咬合器上での噛み合わせの調整(咬合調整) 総義歯では転覆力を排除するため前歯の接触は弱めにする。

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速硬性の石膏やシリコン材料、専用ワックス等で上下の咬合床の3次元的位置関係を固定する。

口腔内で固定された上下の咬合床を上顎模型に適合させ、下顎模型を石膏にて下弓に固定すると、噛み合わせの記録が咬合器上に再現される。

人工歯を基礎床に配列し歯肉形体を再現

石膏に埋没しワックスを溶流して、鋳型に樹脂(レジン)を重合させる。 咬合器に戻し噛み合わせの調整後表面研磨

口腔内に装着された上下義歯

歯肉の形体は使用中の義歯の内面に合致しているので、新製義歯は沈下が起こるまではやや緩めで浮き上がりもあるため、当日の咬合調整は判然としたスポットのみとし、安定後に微調整を加える。

部分義歯安定のポイント

  部分義歯安定のポイント

部分的に喪失した歯の修復には欠損部に隣接した残存歯(鉤歯)に維持装置(鉤:クラスプ等)を設置し、それらを連結して一体とした義歯とする。

必要により診断模型で確認のうえ健全歯はエナメル質の範囲で調整し鉤歯とするが、かぶせ物であれば、すべての鉤歯を同時に新製することで、着脱方向を統一した理想的な歯冠形体とすることができる。

鉤歯とガイドプレーンおよびレストシート

既存の歯やかぶせ物は歯冠の形が義歯の着脱方向を揃えるには不向きな場合が多く、そのままでは装着時はきつく、入ると緩いといった義歯になりやすい。

すべての鉤歯には鉤が密着するガイドプレーンという平行に近い面を付与することによって着脱方向が決定でき、鉤腕は最小の維持力でも十分義歯の浮き上がりを抑制できる。 深めのレストシートを設け義歯に加わる噛み締め圧は鉤のレストで受け止め義歯の沈下を防止する。

複数の鉤歯と鉤および連結装置の関係

人工歯と歯肉部レジンが重合され完成

  インプラント維持の義歯

  インプラント維持の義歯

下顎顎堤の吸収が顕著で吸着が得られなかったり、上顎義歯の口蓋を覆わない目的で、インプラントを利用することもあります。  インプラント本体にスクリュー固定される数種類のアタッチメントがあり、義歯の内面には受け部が固定されます。 摩耗により緩みが出たら部品の交換で対応できます。 既存インプラントの上部構造から改変することも可能です。

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